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2006年5月 5日 (金)

追悼

訃報が入った。

開業当初から取引のあった材料商・営業のWさん。くも膜下出血で、病院に運ばれたが間に合わなかったという。

にわかに信じられなくて、何度も聞き返した。

連休に入る前に集金の事で話したばかりだった。
いつもはきちんとしているWさんが、請求書を持ってき忘れたのだ。「風邪を引いて頭がぼーとしていて・・・申し訳ありません。」と言っていた。風邪のなかなか治らなかった夫とも「今の風邪は性質が悪くて・・・」と2人で同病相憐れんでいた。

3日に亡くなったそうで、今日がお葬式だった。

時間ぎりぎりに到着したので、最後尾の列に着席した。しめやかな式だった。皆、義理ではなく、心から最後のお別れに来ている人がほとんどだった。ハンカチで目を押さえている人が多い。女性だけでなく、男性もハンカチを握っている。

友人代表の弔辞、喪主である奥さんの挨拶に、彼の人柄が凝縮されていた。

正義感の強いまじめな人だった。決していい加減な事はせず、こちらの利になる事をまず、考えてくれる人だった。困った事や急ぎの用とかに、「なんとかします。」と努力してくれる人だった。多種の趣味を持ち、その好きな事をするのを許してくれる、再婚した奥さんと幸せそうに暮らしていた。

夫と私が、全幅の信頼をおいていた人だった。

納棺の際、花を参列者全員で一輪ずつ入れた。棺に横たわる彼の顔は、いつにも増して、やさしく、微笑んでいるようだった。

涙があふれて困った。

人前ではめったに涙を見せない夫も、ポケットからハンカチを取り出していた。

曹洞宗の太鼓と、シンバルの音が響く。今生と、彼岸とを分かつように。

少しせっかちなところがあったかもしれない彼は、53才で旅立った。

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