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2007年6月 8日 (金)

BABEL

先週の木曜日、上映終了日間近の『バベル』を観に行った。

ゴールデングローブ賞作品賞受賞、第59回カンヌ国際映画祭監督賞受賞、第79回アカデミー賞6部門ノミネート、同作曲賞受賞という輝かしい経歴の映画。

役所広司、ブラッド・ピットという私の好きな俳優と、アカデミー助演女優賞にノミネートという日本人として快挙を成し遂げた菊池凛子や、同じく助演女優賞ノミネートのアドリアナ・バラーザ、助演女優賞受賞・主演女優賞ノミネートの経験をもつケイト・ブランシェットという、そうそうたるキャストが出演し、注目株のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウが監督をつとめる映画。

「日本」の撮影の時に、協力・出演した、ろうあの女性が試写に行った時、他の言語の時は字幕があったので理解できたが、日本語の時だけは、字幕が出ないので理解しづらかった、自国語なのにわからないとは・・と苦言を呈していたという記事を読んだことがあり、聾唖の方には、たとえ読唇ができたとしても、字幕の無い日本語の映画は障害なのだとあらためて気付かされ、私も少なからずショックを受けたが、日本の試写ではその辺りが考慮されていなかった映画。

上映後、一部の場面における光と音の作用で気分の悪くなる人が続出したという映画。

いろいろ話題の映画だったので、終了する前に観に行かなければと、出かけたのだった。

感想の前に、まず字幕についてだが、「日本」バージョンの時にも、苦にならない字幕がつけられていた。改善されているようだった。

光だが、やはり薄目にして見ていないと辛い。気分は悪くならなかったが、時間も結構長く続くので、あれ以上長時間だと苦しかっただろうと思う。

さて、物語は、モロッコ・アメリカ・日本・メキシコにおけるそれぞれの出来事が時間軸を交差させながら、複雑に織り成されていくが、出演者達の確かな演技力によって、脳裏にしっかり刻み込まれるから、頭の中がそれほど混乱することなく、一本のつながりとなって、収束する。俳優達の力量に支えられていると思った。

2時間半近くの比較的長い映画で、少々疲れる。観終わったばかりのときは「面白かった」とか「また見たい」とか、全く思わなかった。中盤の暗さ、孤独、死、愚かさ、破滅などのイメージが払拭されないからなのだが、「バベル」の意味とか、監督の言いたかったことは何なのだろうかと考えていると、エンディングでの、再生、希望、絆、許し、開放などのイメージがより濃くなってきて、「なかなかよかったんじゃないか」と思えるようになる、何とも不思議な映画であった。

神が、不遜で愚かな人間に対して、言葉を乱すことにより、共同作業ができないようにしたという旧約聖書《創世記》における、バベルの塔の物語を頭において映画を観ていないと、見誤るだろう。

意思疎通のできないところに、争いの種が生じることがある。
また、この映画の中のエピソードのように、言葉がわからない=聞く耳をもたない=人の言っている事を聞こうとしない人達が、勝手な思い込みのまま行動すると、なんでもないことだったのが、とんでもない事態へと悪化してしまうことがある。

東京の高層ビルはバベルの塔の象徴だろうか。渋谷の若者達も退廃の象徴なのだろうか。

菊池凛子演じる、聾のチエコは、聞こえる言葉の無い世界にいて孤独を感じているが、まさしく聞く耳をもたないということで、この映画において重要な役なのだろう。

そのチエコは、正面から話し掛けないとわからないし、ゆっくりしゃべらないとわからない。

これは、大事なことを示唆していると思う。

人は、正面を向いて、その人に理解できる、その人を思いやった言葉、態度で接することが、必要なのだということだ。

イニャリトウ監督はこの映画を一言であらわすと『compassion』だと言った。日本の俳優陣からは、『絆』『許し』『魂』などと言う言葉が出ていたようだ。

深い思いやり、共感を持って人とかかわることが、その人との間、また自分自身の中にある障壁を取り除くことになるのだと思う。

また、問題に直面した時に、逃げるのではなく、きちんと向き合ってすすむ勇気を持つ事が、問題解決の糸口となる。

決して逃げてはいけない。

そんなことを感じた。

その他思った雑感や、疑問に思ったことなど記してみる。(ネタバレをするといけないので反転文字で)

1、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの夫婦が、赤ちゃんの死によって壊れ始めた夫婦の絆を取り戻そうと、旅をするという設定だが、まだ幼い二人の子どもを置いてすることなのか、何でその地がモロッコなんだろうか。(モロッコは、公用語のアラブ語のほかにベルベル語、フランス語などの言葉の問題のある国だからか?)

2.ヤギ飼いの父親は、あんなに簡単にライフルを子供達にまかせてしまっていいのか。

3.菊池凛子の体当たりの演技、パンツを脱いだり、全裸になったり….評価されているし、内容で必要なことと言われれば納得もできるが、やっぱり少しひいてしまう。

4.こんにちの歯科医、特に東京の歯医者でマスクもグローブもしないで診療する人はいないであろう。

5.メキシコ人のベビーシッターの甥の消息は?

6.どうして、チエコの母親は、銃で自殺したのか?

☆☆☆

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