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2008年9月 6日 (土)

そうか、もう君はいないのか

Pa0_0045_2 広田弘毅を書いた、城山三郎の「落日燃ゆ」を読もうと思って、取り寄せていたが、同じ作者の未完の遺稿とされる、「そうか、もう君はいないのか」が、図書館からの電話で借りられることになったので、読みやすそうな、こちらから読むことにした。

これも、何ヶ月か前に予約しておいて、予約したことを忘れていたものだった。

題名からして、亡き妻への思いがあふれているようだと思ったが、妻との出会いから、永久の別れまでを時折ユーモアを混ぜて書いてある本編は、妻、容子さんへの愛情で満ちていた。

うらやましいほどの、夫婦の絆である。

偶然の出会いで一目ぼれ。一度は、容子さんの親に時期j尚早と遠ざけられたが、「天使」ともたとえた人と、奇跡的に再会できて一緒になれたせいで、べた惚れだったからなのかもしれないが、ずっと少年の日の心を失わず、奥さん第一、奥さんへの思いが変わらなかったのは、日本の男性としては珍しい。

ふつうの日本の男は、若い日はともかく、やっぱり自分の母親を第一に考えるものだから・・・。(自分の奥さんは、子供の母親と考える男が日本には多いのではないか。)

結婚して何年もたたずして、母親が亡くなってしまったこともあるのだろうが、大陸的な容子さんは、妻であり、母であったのかもしれない。
そればかりか、妹であり、取材の旅の相棒であり、『パイロットフィッシュ』であり、何物にも代えられない存在であったのだろう。

一方、容子さんのほうも、夫として、兄として、作家「城山三郎」のファンとして、終生慕い、敬愛する気持ちを持ち続け、献身的に尽くし、支えていった。
子供たちからみて申し分のない母親であったが、心の底では夫が一番だったという告白を受けて娘さんが多少ショックを受けたようなことが、娘さんのあとがきにも書いてあった。

まさに夫婦の理想。

これも娘さんからのエピソードだが、城山が亡くなった時、その死に顔は穏やかで笑顔を浮かべていたという。「お母さんが迎えに来たんだね、良かったね、お父さん。」と、子どもたちに思わせる生き方、死に方は、お手本にしたいものだ。

娘さんのあとがきには、心温まるものがあったが、知らないうちに、ボタンの掛け違いが始まっていたことに気づいた私たちの夫婦関係を考えてしまうと、少しジェラシーのような気持ちが浮かんで読み終えた本だった。

また、蛇足だが、「城山三郎」のペンネームの由来は、織田信長の出城があって通称「城山」と呼ばれている名古屋市の東郊に、三月に引っ越したからなのだそうだ。

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コメント

まりママさん、こんばんは。

ずっと気になっていた本ではあるのですが、書評を読んで切なくなってしまったので、まだ手にしていません。

「知らないうちに、ボタンの掛け違いが始まっていたことに気づいた私たちの夫婦関係を考えてしまうと、少しジェラシーのような気持ちが浮かんで読み終えた本だった」

いいお言葉ですねー
正直に言おう(ん?どっかで聞いたような)。私の場合、結婚して20年も経つと、家内のことを「愛して」はいるが「恋して」はいない。
ずっと一緒にいても、お互い恋し続けることができれば、ステキだと思うけれど、普通の夫婦には無理なんじゃないかしら?それを求めるのは、誤解を恐れずに言えば、韓流ドラマに夢中になるオバサマのようだわ。

と言って、家内に面と向かって言う勇気はないんだけれど

投稿: しりあげむし | 2008年9月 8日 (月) 22時56分

しりあげむしさん、お久しぶりです。

>家内のことを「愛して」はいるが「恋して」はいない。

奥様のことを「愛している」と、全世界につながるインターネット上で公言できるのはすばらしい!あっぱれマークを差し上げます。

「日本の男は・・・」などと批判めいた事を書きましたが、謙虚に自分のことを振り返ってみると、娘が生まれてからは、子育て第一とばかり、旦那のことはほったらかしにしていたかも。。。と反省しているところです。

理想・あこがれはありますが、現実は・・・、ですね。

投稿: まりママ | 2008年9月10日 (水) 01時48分

まりママさん、こんばんは。

新明解国語辞典[第5版]によると、
「愛: 個人の立場や利害にとらわれず、広く身のまわりのものすべての存在価値を認め、最大限に尊重して行きたいと願う、人間本来の暖かな心情。」
…簡潔に私の言葉で言えば「大事に思っている」ということですかな。

「恋: 特定の異性に深い愛情を抱き、その存在を身近に感じられるときには、他のすべてを犠牲にしても惜しくないほどの満足感・充足感に酔って心が昂揚する一方、破局を恐れての不安と焦燥に駆られる心的状態。
…だそうです(笑)
「破局を恐れて~」の気持ちは常にあるものの、ここまではね

投稿: しりあげむし | 2008年9月10日 (水) 21時26分

しりあげむしさん

普通の長年連れ添った夫婦の間の「愛」というものは、男女の愛というより、家族愛人類愛になるんでしょうかね・・・。

投稿: まりママ | 2008年9月11日 (木) 02時41分

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