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2008年9月24日 (水)

崖の上のポニョ

崖の上のポニョ (監督 宮崎駿)

ひと月前のお盆休みに、大橋のぞみちゃんの歌と、作画にCGは使っていない作品だということのほかは、何の予備知識も持たずに観た「ポニョ」。
娘を体育館に送って行って帰ってくる途中、ちょうど、時間がぴったり合ったから観てきたのでした。

宮崎駿作品で、しかも夏休み中だったから、さぞかし混んでいると思いきや、娘とその友達を連れて、「ナルニア国物語」や「タイヨウのうた」に来た時よりもすいていました。まあ、朝一番の回なのに、7割がた席が埋まっていたから、こんなものなのかなと。

さて、肝心の映画ですが、「やっぱり手描きのセル画は、絵本のようにあたたかみがあっていい。それに、宮崎駿の迫力ある表現力、スタジオジブリの技術力は、さすが!」という感想が、まずはじめに。

次に、内容に関して言えば、とてもシンプル。そして「?」と思うところがいくつも・・・。

たとえば、あんなに海が荒れて、座礁する船が続出だろうし、洪水も起こして、かなりの人が被災したのではないか?犠牲になる人のこともお構いなしに、ポニョは人間になりたいという「わがまま」を押し通してしまうけれど、それでいいのだろうか?
元人間のフジモトって?美人の海の女神グランマンマーレとフジモトの間にできた子どもたちが、なんで「さかなの子」なのだろうか? ・・・等々。

さらに、モチーフとして、人魚姫、ノアの方舟、世界の終焉、破壊と再生、生命への謳歌などが、浮かびましたが、ひっかかってしまったのが、ポニョの本名「ブリュンヒルデ」。

ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』で、神々の長であるヴォータンと、知恵の女神エールダとの間に生まれた9人のワルキューレ姉妹の長女の名前です。

気になってしまったので、とうとう『ニーベルングの指環』を読んでしまいました。
まずは、マンガ名作オペラで、里中満智子さんのもの、上下巻。(これは、読みやすくてしかも、よくできている。)次に『ワルキューレ』の予約を待って、高橋康也ほか訳の『ニーベルングの指環』4部作『ラインの黄金』『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』の4冊・・・をオペラ独特の歯の浮くようなセリフにも慣れ、何かに取り憑かれたように読んでしまったのでした。

この通りだと、ブリュンヒルデとジークフリートは悲劇的な結末を迎えるし、神々の館も炎上し、滅びるので、ポニョと宗助の関係や、人間社会は破滅かということになってしまうのだけれど、フジモトは、グランマンマーレ一筋だから、浮気者のヴォータンとは違うし、ブリュンヒルデの妹達は、父ヴォータンが怖くて、ブリュンヒルデを守れなかったのに、「ポニョ」の妹達は、わらわらと集まって姉を助ける。
また、グンターやグートルーネ、奸計を巡らすハーデンなどはいないから、ポニョと宗助のお互いに「大好き」と思う気持ちを邪魔するものはない。

こう考えると、宮崎監督は純粋な気持ちに立ちふさがるものを、大ナタをふるって切り取ってしまっているのでは、と思えてきました。

また、話を人魚姫にもどすと、私はこの童話を読むたびにやるせなく、理不尽な、という思いが強く湧いてきて仕方がなかったのですが、自己犠牲だとか、「崇高な」愛だとかに、がんじがらめになっていて封印されている、人魚姫の王子への思いをかなえてあげてもいいじゃないか、と思ってしまいます。それを、宮崎監督がポニョに投影して、わがままでもいい、したいことをしちゃいなよ、させてあげるよと、断行した結果、躍動感あふれるポニョが生まれたのでは、という私見を持ちました。
「ポニョ」では、助けるのが人間である宗助だし、ポニョが宗助の血をなめたことで、人間になれるようになっていくという設定で、人魚姫が助け、王子の血を足にかけると人魚にもどるという「人魚姫」とは正反対な設定なので、結末もまた、ハッピーエンドってことで。

洪水にしても、救命ボートにのている人達は、間が抜けているようにのんきだし、生命の水が混ざったおかげか、車イスのおばあちゃんたちが、皆歩けるようになってしまったし・・・。

結局、深く考えないで、映像を楽しめばいいと思うにいたりました。

波とのカーチェイス、リサのドライビングテクニック、巨大魚の波の上をワルキューレ騎行のように走るポニョ、水没した家の庭の洗濯物が、水の中ではためいているおもしろさ、海をおみ渡りするグランマンマーレのバカでかさ・美しさ、水の中の森を悠然と泳ぐデボン紀の魚たち。

このようなところが、特に印象深く思い起こされたのでした。

それにもまして、「ポーニョ、ポーニョ、ポニョ、さかなの子♪、・・」という、歌!
今でもまだ、すぐに口ずさんでしまう・・・。
作詞・宮崎駿、作曲・久石譲の黄金コンビ、おそるべし。

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