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2014年4月29日 (火)

夫の悪夢

516piuqwl_bo2204203200_pisitbstic_2 ベストセラーとなった「国家の品格」の著者、数学者の藤原正彦氏の奥様、藤原美子さんのエッセイ。

ユニークな正彦氏のこと、3人のご子息のこと、義父母の新田次郎氏や藤原ていさん、藤原家の日常などを、軽妙洒脱に、ユーモラスに、時に辛口に綴っている。

読んでいて思わずくすりとしてしまったり、切り口がいいなと共感したり、読み物として、とてもおもしろい。

好奇心旺盛で行動力のある美子さんは、尻込みする夫君を日本アルプスの山登りに連れて行ったり、沖縄でスキューバダイビング体験を否応なく一緒にさせてしまったりする。

表題の「夫の悪夢」は、そのスキューバダイビングの後、夫君が夢でうなされていたというエピソードからつけられたもの。

美子さんは「美子」という名前の通り、大変な美人で、心理学者として大学で教授職にある才媛。

新田次郎原作の映画「剱岳 点の記」では、役所広治の妻役で出演していた。
映画館で「剱岳」を観た時、『この女優さん誰だろう?大谷直子に似てるけど、違う。もっと初々しいし楚々としてる』という感想を持ったことを思い出した。彼女だったのか。

3人のご子息もエキストラで出演されていたそうだが、DVD観てもよくわからなかった。エンドロールにはしっかり4人のお名前が記されていたが。

さて、お二人が結婚三十年という記念日に対してのやり取りの中で、

『まあ、そんなになるの。よく三十年も続いてきたものねえ。つくづくそう思うわ。あなたのような手のかかる人とうまくやって行かれるのは、世界中どこを探しても私くらいのものよ。私ほど忍耐強い人はいないもの。でもね、私とうまくやっていかれる男性は世の中にわんさといると思うわ』

というくだりがあるのだが、私はいたく共感してしまった。

私とうまくやっていかれる男性がわんさといるかどうかは別にして、ちょっと変わり者の夫とうまくやっていかれるのは私ぐらいのものだろうということに気付かされ、変な自負を持ってしまったのだ。

腹の立つことも多く、それを発散するためにブログに書いていたりしたのだが、去年のことである。酔っ払った夫に、『俺のことをブログで書くのはやめてくれ』と言い渡されてしまったのだ。

なんでも、私が、夫のことをブログに書いて世界中に発信している、ということをどなたからか聞いて、おかんむりになったらしい。自分で読んだのならともかく、他の人から聞いたというのがおもしろくなかったようだ。

素面では我慢していたことも、酔っ払って抑制が外れて本音がでたらしい。挙句の果てに妙な理屈をこねてきた。「個人情報漏えいだ」と。

少し前の私なら、言い合いになったことだろうが、娘から「お父さんは無理だから、お母さんが大人になって下さい」と諭されていたこともあり、また元来平和主義者の私は、『はぃ・はぃ』と返事をしたのだった。

藤原正彦氏の暴露本のような「夫の悪夢」を世に出すことを許した、正彦氏の度量の大きさに敬意を表したいが、歳の差夫婦で、年下の妻のすることは許せるものなのかもしれないとも思っているところである。

今までに夫に対して書きたいこともあったが、「ふたつ」返事で「書かない」ことを約束してしまったので、根がまじめで約束を破ることをよしとしない私は、書かなかったのだ。

そんなわけで、夫からのクレームによって、「夫へのクレーム」と題した本は永遠に出版されないであろう。

最後に、この本を薦めて下さり、私に藤原美子さんのことを教えて下さったT先生に感謝申し上げる。

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