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2016年3月 1日 (火)

小児歯科医の仕事

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1歳半の時から診てきた男の子が、今年高校を卒業します。

アンパンマンよりバイキンマンが好きで、歯磨きが大嫌い、お母さんをてこずらせ、泣かないで診療台に寝ることがなかなかできなかったお子さんでしたが、熱心なお母さんが定期検診に通って下さったおかげか、何とか、治療が必要なむし歯もできず、歯肉炎も問題にならない状態で永久歯列に交換しました。

ところが14歳10か月の定期検診の時、左下に比べ右下の12歳臼歯の生え方がおかしいと思ったのでパノラマX線写真を撮ってみたところ、親知らずの歯胚が、12歳臼歯の背に乗りかかり、12歳臼歯が倒れているかのような画像を認めました。

口腔外科の先生にお願いして、親知らずを摘出してもらい、12歳臼歯は、3Dリンガルアーチという装置で傾きを直すことにしました。

それ以前、生えかわった小臼歯が捻転していたため、すきまが残っているうちに、その捻転を矯正して直したらどうかとすすめた時に、本人が歯の表側に装置を付けたくないからと矯正を断念したことがあったので、この時の矯正治療を受け入れてくれるか懸念がありましたが、使うのは歯の裏側の装置であることと、レントゲンを見て本人が治療の必要性を理解したため、協力を得ることができました。

彼は、上顎の12歳臼歯の形成が遅く、口腔内に萌出するまでだいぶ時間がかかりました。ようやく右側が出てきたので、しばらく様子を見ていましたが、左側がなかなかでてきません。17歳2か月の時のパノラマ写真では、明らかに左右差が認められました。

そこで、再び、口腔外科の先生にお願いして、左下に埋伏している親知らずの抜歯とともに、左上の12歳臼歯の部分の開窓をしてもらいました。

開窓した部分に周りから歯肉が被覆してこないような処置をし、自然に萌出して来ない場合に牽引できるような準備をして経過観察をしていたら、なんと半年くらいで自力で出てくれました。

右下12歳臼歯の傾斜も治り、装置を外したときのパノラマ写真が一番下、17歳10か月の時のものです。

これで、8028を目指す基礎ができました。

小児歯科医は、お子さん本人とお母さんと3人4脚でむし歯予防・治療、歯肉炎予防に取り組み、外傷の予防・治療をしたり、歯列・咬合・機能・軟組織などの異常を軌道修正させるべくコーディネートしたり、ポテンシャルが発揮できるように手を貸したりして、将来、1本も歯を失わないような永久歯列・咬合の土台を作るお手伝いをすることが仕事なんだなと、この症例を通して実感したのでした。

最適な時期に最適な最小の関与ができたらと思います。

   *神岡歯科医院のHPはhttp://kamioka-dc.jp/   

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