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2016年5月 1日 (日)

小児歯科医の仕事 Ⅳ

月に2回行っているカルチャーセンターの講座でご一緒の、私と同年配の看護助手の女性から、「恥ずかしいから黙ってたんですけど、実は息子が小さい時、むし歯の治療をしていただいたんですよ。」と打ち明けられました。

「ドみそな子で泣きべそだったんで、縛り付けられて・・おさまえられて治療してました。」

と言われた時、大変ショックを受けました。

女性のお顔を覚えていなかったことと、その方がいまだに『縛り付けられて』と思っているということに。

小児歯科の治療では、暴れたり多動のお子さんが、安全かつ確実に治療を受けられるようにするためにレストレイナーという抑制具を用いることがあります。

ネット(網)のついたベッド状の台で、バスタオルにくるんだお子さんを寝かせてネットを上からかけて体を抑えて動けないようにするものですが、確かに、見た目は縛られているかのように映ったのかもしれません。

高速回転する切削器具を狭いお口の中に入れて操作するむし歯の治療では、動かれるととても危険です。動かないように言っても言うことを聞けず、すぐに手が出たり、起きたり、暴れ出したりするお子さんは、動かないように抑える必要があります。

かといって、全力で暴れるお子さん相手に、人手で押さえることはとても難しい。中途半端な力では負けてしまいますし、負けないように力を入れると今度は押さえたお子さんの腕や手首にうっ血した痣をつくりかねません。また、抑える方が疲れて、ふっと力が抜けた時に動かれてしまうこともあります。

その点レストレイナーなら、持続的に抑えていられるし、のれんに腕押し的なところがあって、お子さんの体には優しいです。

このようなことを説明し、了解を得た上、レストレイナーを使ったはずなのですが・・・。

どのような状況だったのか、調べてみることにしました。

息子さんのお名前は聞いてなかったのですが、以前の会話から年齢がわかっていました。
苗字と性別、年齢から、診療所のレセコンで数名が検索されました。その数名のカルテの内容を調べ、初診が低年齢、レストレイナーを使用してでも早期に治療しなければならないようなむし歯が多数あった人を探したところ、該当者が3名いました。

その3名の初診は、うちの診療所が一番混んでいて忙しい時でした。そのうち2名は同じ日に受診していました。

また、3名ともむし歯の治療がすべて終わった後に、1度も定期検診に来院していませんでした。

忙しかったから、今より説明の時間が取れなかったかもしれません。
むし歯が大きくて早期の治療が必要だったことと、予約がいっぱいで次の予約まで日にちがかかってしまうので、トレーニングを早めに切り上げ、治療するまでのアプローチを少し急ぎすぎたかもしれません。

時間が足りなくて、本当に理解、納得しての治療でなかったから、「縛り付けられた」と思ったのかもしれません。

負のイメージが払しょくされず、だから定期検診にまた来ようと思わなかったのかもしれません。

定期検診にいらしてないので、お顔も覚えられなかったのでしょう。

過去の治療を反省する良い機会をいただきました。

       *神岡歯科医院のHPはhttp://kamioka-dc.jp/

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