2007年の第1日目のできごと。
1月1日(月)大安。
この時期の雪国には珍しく、朝から晴れていた。
初日の出が拝めた。(本当に珍しいこと。)金色の日の光がまぶしかった。
朝は水溜りに氷が張るほど、キンと寒かったが、お天気が良いせいか、徐々に暖かくなった。
お昼近くに、家族で神社へ初詣に出かけた。
境内は大勢の参拝客で埋め尽くされ、鳥居の外の道路まで行列をなしていた。
こんなことは、今までで初めてであった。
帰り際、珈琲が飲みたいと言った夫に、開拓したばかりの珈琲専門店を紹教え、3人でおいしい珈琲とケーキを堪能した。
満足して帰宅。
皆がTVの正月番組を見始めたが、私は一人、車で診療所に向かった。
熱帯魚に餌をやったり、鉢植えに水をやったり、思いがけず戴いた年賀状に返信するために、何枚か年賀状を印刷したりなどの雑用をしに行ったのだった。
日もだいぶ西に傾き始め、今日は平安な一日だったと家路についた。
信号のない四つ角に差し掛かったときである。
道路を渡って直進しようとする先に、中学生ぐらいの男の子達が二人、道の真中を歩いていた。危ないな。端に寄ってくれないかな。どうも気になって仕方がない。
いつも通り停止線で停まり、左を確認、OK。右は家がコーナーいっぱいに建っていて、停止線の位置からでは、目視できない。コーナーミラーで確認。車の姿はなかった。
前の男の子達、気付いてよ。
と、思った時、二人は右端に並んで歩き出した。
ほっとしたら、ブレーキから足が離れ、緩々車は前進し始めた。
いつもなら、目視できる位置まで出てからちょっと停まり、再度右を確認してから横断するところだったのに、前方に気を取られ、右方の確認がおろそかになったことを認める。
いつ、現れたのだろうか?目の前に、白の軽自動車が来ていた。
急ブレーキを踏んだが、間に合わない。
白の軽は、まるで私の運転する車に向かって当たりに来たかのようにバンパーにぶつかって止まった。
鈍いクラッシュ音と軽い衝撃が、現実であることを私に認識させた。
「えっ、ぶつかっちゃった?元日早々・・・。うわっ、どうしよう・・・。」
頭の中が真っ白になり、すぐには次の行動が取れないでいた。
白の軽からは、毛糸の帽子を被ってピアスをして、だぶだぶのデニムを腰までおろして穿いたおにいさんが「何やってんだよ!冗談じゃねえぞ!」「どこ見てんだよ!」と叫びながら降りてきた。同乗者もいるようである。
「よりによって、やばそうな車にぶつかっちゃた・・・。まずいなぁ・・。」
まだ何か、ひどい言葉を浴びせられたような気がするけれど、覚えていない。とりあえず、後続の車の邪魔にならないところに駐車させ、携帯で夫に事故を起こしたことを電話で告げる。まだ、パニクッていたので、どこでどんな状況の事故なのかを問う夫に、しどろもどろに答えていた。
と、怖そうなおにいさんが、窓ガラスをたたいて「警察に電話するから」と言ってきた。
「警察」と聞いた時、びくっとした。
躊躇していると、「あんた、自分が悪いことをしたと思ってないのか?」と言う。
確かに、いつもしていることを今日はせずにうっかり出てしまったことは、悪い。でもそっちもスピードの出しすぎじゃないのと思ったが、ぐっと言葉を飲み込んで、警察に電話してくれるように言った。
だんだん落ち着いてきたので、相手の車の状態を見に行くことにする。
路肩に停めた白の軽の後に、セダンの乗用車も停まっていて、初老の男性が降りてきた。
おにいさんの父親と思われる。
母親と思われる女性もいた。白の軽では、おにいさんの奥さんらしい若い女性が、チャイルドシートから1歳くらいの赤ちゃんを抱き上げていた。
「お子さんがいらしたんですか。大丈夫でしたか?」
子どもが同乗していたので気が立っていたのか・・・。
赤ちゃんは何ともないとのこと。よかった!
奥さんも、おにいさんももちろん、問題なさそう。
私も、全然なんともない。(ステージアは、さすが安全評価トリプルAのことだけはある。)
全員かすり傷一つなく、不幸中の幸いである。
おにいさんも落ち着いてきたせいか、態度も変わってくる。
奥さんと、赤ちゃんは、おにいさんのご両親の車に乗って帰っていった。
まもなく、二人の警察官がやってきた。二人とも柔らかな物腰である。何だか安心した。
当事者二人は免許証と、車検証の提示を求められ、それぞれの警官から事情を聞かれ、お互いに確認しあう。連絡先を伝え、当事者同士も名前、住所、電話番号を交換し合う。
年配の警察官が訓告する。「見通しの悪い交差点では、一時停止してからもう一度見えるところで、再確認することですね。優先道路の方も、見えない場所ではスピードを落として、お互いに気を付けることが必要ですよ。」
警察官は良くわかっていたのだと思う。
不注意だった私が一番悪いのだが、相手が減速していたら、事故は回避できたと思う。
「怪我をされた方がいないと言うことで、あとは車の修理ですね。事故証明を出しておきますので、保険会社の方との交渉で、お互いに話し合いをしてください。」
こういい残して、二人の警官は去っていった。
すでに日が落ち寒さが身に染むようになってきていたが、車検証の最後に書いてあった、保険会社の24時間対応の電話番号に電話をして、事故の状況やら、いろいろ必要なことを伝えた。相手のおにいさんも、奥さんから聞いて自分の保険会社に電話をしていた。
結局、保険会社も、自動車工場も正月休みのため、すべての処理は1月4日以降になるということだった。間の悪い時に事故を起こしたものだ。
おにいさんの車は、左前輪の上から、ドアの根元にかけて凹み、ドアが開かなくなっていた。
私の方は・・・、ひどい。
バンパーがえぐれ、右ライトが壊れ、何と、ナンバープレートがぐしゃぐしゃになって道に転がっていた。
バンパーが衝撃を吸収し、ナンバープレートが人間の代わりに犠牲になってくれたかのようだった。
おにいさんは、すっかり平静になって、「さっきはひどい言い方をしてすみませんでした。」と私に謝った。
見かけによらず(失礼!)いい人じゃないかと思った。
まだ警官がいるときに状況を見に来た夫は、私の過失が100%ではないことを見てとると、皆に「ご迷惑をかけまして」と言って、そのまま帰っていった。私が帰宅してもそんなに責めることはしなかった。「人身事故でなくて良かったな。」
娘も「お母さん、そんなに落ち込まないで。これを教訓に、今度から気をつければいいじゃない。」と慰めてくれた。(彼女が一緒に乗ってなくてよかった。)
この事故のことを、夫の両親には話さないわけにはいかなくなるだろうけれど、私の実家の両親には敢えて今、話さなくてもいいだろうと思い、黙っていることにした。
朝のTVで、生まれ月による今年一年の運勢についてやっていたのだが、娘が言うには、「お母さんは『1月』が最も運勢の悪い月なんだって。」
そうか。それで・・・。
いや、運のせいにすることなく、細心の注意を払うこと!
これに尽きる。
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